モバイルアプリでの利用数に関してはChatGPTに迫るほどのユーザ数を獲得している、独自のキャラクターをデザインできるAIチャットボットアプリ「Character.ai」が人気を集めています。
2023年5月にApple App StoreとGoogle Play Storeにアプリ公開後、最初の週で170万ダウンロードされたことで話題になりました。
誰もが有名人や、アニメキャラクターと会話を交わしてみたいと思ったことがあると思います。
Character.aiのアプリを使うことで、かつて夢見たこれらのことが可能になるかもしれません。
当記事ではCharacter.aiの創業者、投資家、アプリの使い方までまとめていきます。
Contents
Character.ai 基本情報
会社概要
会社名 | Character.ai |
設立年 | 2021 |
本社所在地 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サンフランシスコ |
プロダクト | ユーザーがキャラクターを作成できるAIチャットボット |
従業員数 | 38 (2023年10月時点) |
直近投資ラウンド | Series A (2023年3月) |
累計資金調達額 | $150M (約225億円) |
投資家 | Andreesen Horowitz, A.Capital Ventures, SVA, その他個人投資家 |
2023年3月に行われたSeries Aラウンドではシリコンバレーの老舗ベンチャーキャピタルであるAndreesen Horowitzがリードインベスターとなっています。
また、生成AIのユニコーン(企業価値が$1 Billion (約1,500億円)を超える創業10年以内のスタートアップ)の中の一社です。
生成AIの中でのカテゴリ
Character.aiは生成AIスタートアップの中でもどのようにカテゴライズされるのでしょうか。
Sequia Capitalが発表したGenerative AIを含むAIカオスマップを参考にします。同カオスマップの中ではCharacter.aiは「アプリ:エンターテインメント」と「インフラ:フルスタック大規模言語モデル」に分類されています。
創業者
Character.aiの創業者はどのようなバックグラウンドを持っているのでしょうか。
Character.aiはGoogle出身の2人の技術者Noam Shazeer氏とDaniel De Freitas氏によって創業されています。
2人ともGoogleの言語モデルのLaMDAの開発に携わっていました。
Noam Shazeer氏はTime誌が選ぶ、AIで最も影響力がある100人(2023)に選出されています。
Character.aiのアプリ内のNoam Shazeer氏のAIへのインタビューによると、Googleを辞めてスタートアップを創業した理由は以下とのことです。
「起業家精神に従い、Googleを退社した。大企業で一つの機能を開発するより、世界の重要な課題に取り組みたいと思った。」
AIの発言と思えないほどカッコいい・・・!
プロダクト
Character.aiのアプリでできること
Character.aiのアプリでは、大きく以下のようなことが可能です。
- キャラクター(チャットボット)の作成
- キャラクターの性格の設定
- 作成したキャラクターとの会話
- 作成したキャラクターの外部公開
- 外部公開されているキャラクターとの会話
実際にアプリを触ってみてみましょう。
キャラクターの作成
Character.aiのアプリをダウンロードしてアカウントを作成してログインすると、以下のような画面が表示されます。下のメニューからCreateを選択します。
まず最初にキャラクターの名前を設定します。名前には苗字(Last Name)と名前(First Name)を含めることが可能です。
ここでは日本人の設定でTaro Tanakaという名前にします。
続いてキャラクターの顔写真(アイコン)を設定します。この顔写真が公開時のキャラクターのアイコンになります。
写真をアップロードしない場合以下のような名前のイニシャルアルファベットがアイコンになります。
続いて、キャラクターの挨拶文の入力を行います。この挨拶文がキャラクターとの会話の最初の挨拶・自己紹介となります。
ここでは名前のみの簡単な自己紹介と挨拶文を設定してみます。
ここまででキャラクターの作成ができました。続いて性格の設定を行います。
キャラクターの性格設定
キャラクターの性格の設定には2~3つの単語で設定するSubtitle、2~3の文章で設定するDescription、より細かい性格の設定が可能なCharacter Definitionの3つがあります。
ここではSubttitleに「日本人のビジネスマン」と設定してみます。
続いて数行の文章で性格を表現する「Description」を設定します。
以下のような内容を設定してみます。
- 彼は礼儀正しく、親切で、人を助ける
- 本を読むことと、新しいことを学ぶのが好き
- 家族と友達を愛している。
より細かい設定も可能なCharacter Definitionもありますがやや上級者向け設定のようなのでここでは割愛します。
これで性格の初期設定が終わりました。
早速会話してみましょう!
作成したキャラクターとの会話
作成した家族と友人を愛する架空の日本人ビジネスマン "Taro Tanaka"との会話を開きます。
事前に設定した自己紹介と挨拶が返ってきました。
事前に日本人のビジネスマンと設定したので、どこに住んでいるか聞いてみます。
すると以下のように返ってきました。
「日本生まれ日本育ちで、東京に長い間住んで働いていたけど、去年ニューヨークに引っ越すことを決めて、今はニューヨークに住んで、ビッグテックカンパニーで働いているよ!アメリカに来たのは今回が初めてだけど、日本とは全然違うよ!」
日本人のビジネスマンという設定を与えたのみでしたが、
- 昔東京に住んでいた
- 今はニューヨークに住んでいる
- テックカンパニーで働いている
など細かい設定を補完してくれています。回答にニューヨーク?の画像まで表示してくれています。
次に趣味の話をしてみましょう。空き時間は何をして過ごしているのか聞いてみます。
事前に設定した本を読むことが好き、新しいことを学ぶのが好きという回答に加え、
テニスが好き、新しいレストランに行くことが好き
といった設定を回答してくれました。
今回設定した性格は最小限の内容でしたが、設定した性格の内容は忠実に、プラスアルファの内容にて返答を返してくれることがわかりました。
日本語は扱えるのか
日本語での会話はできるのでしょうか。ここでは日本語で会話ができそうな既に公開済みのキャラクターで試させていただこうと思います。
ここではわかりやすく岸田総理(by @mumumu)キャラクターを試してみます。
(キャラクターの発言は作られたものです)
日本語の定型挨拶文で会話が開始します。まず初めに総理大臣を志した理由を聞いてみます。
シンプルですが、それらしい内容の回答が返ってきました。日本語処理も可能なようです。
次に日本経済に関する質問をしてみます。
実際の総理の考えとどれだけ合っているかは不明ですが、回答内容としては総理っぽい内容を返してくれています。ユーザとして使う限り、確かに総理に質問をしているような気分は感じられます。
日本語でのキャラクターのトレーニングや、会話も問題無く行えることがわかりました。
公開済みキャラクターリストでは、日本の漫画やアニメキャラクターなどのアカウントも多く公開されていますが、日本のユーザ数があまり多くないのか、英語のみ対応のキャラクターが大半でした。
今後、日本のユーザが増え、日本語で会話が可能なキャラクターが多く公開されていくことで日本のアニメキャラクターや有名人との会話を楽しめるようになるかもしれません。
まとめ
当記事では、独自のキャラクターをデザイン、公開できるAIチャットボットアプリ Character.aiについてまとめました。同社は生成AI領域のユニコーン企業の一つとなっています。
公開済みのキャラクターを利用することで、有名人や歴史上の人物やアニメキャラクターなどとの仮想的な会話を楽しむことができます。また、日本語にも対応しており、日本語で返答するキャラクターを作成することも可能です。
現状、ChatGPTに代表されるチャットアプリに対して、質問したり、アイデアの壁打ちを行なっている人が多いと思いますが、今後はCharacter.aiに公開されている専門家のキャラクターやアニメキャラクターに質問や相談をするような世界がくるかもしれません。
サムネイル画像出典(https://blog.character.ai/)